― プシュッ!

左腿に焼けるような痛みを感じた
「!!」
ズボンに赤い染みが広がっている
「チッ!」
汗を浮かべながらもニヤリと笑う海堂
廊下の角に身を寄せ弾丸を装填する

― 楽しかった

あのカーチェイスの時も含め、かつてここまで実力が切迫した相手に出会った事はない

クスクスと押し殺した声で笑う
自然に声が出てしまう
















弾丸を持つ指が、微かに震えている事に気付いた

目を見開き、震える指先に見入る

(なんだこれは?)

俺が震えている?
どういう事だ?

海堂は混乱した
なぜこの指は震えているんだ・・・

弾丸がうまく装填出来なくなる程、震えが大きくなってきている

「なんなんだこれは?」

指を思い切り壁にぶつける

鈍い痛み

だが震えは止まらなかった

― 恐怖?

今まで、人の命になんの価値も見い出す事なく生きてきた

自分が死を身近に感じた事がなかったからだ

― これが恐怖か

ドッと冷や汗が出た

震えが指先から足に、そして体中を駆け巡るのを感じた




・・・・・・ふ.ざ.け.る.な