その後、一通り遊び終えてあたしたちはショッピングモールの最寄り駅で別れた。岩田さんは逆方向の電車に乗って行き、久米は当然のようにあたしを送ってくれようとした。


まぁ考えたら久米とあたしは同じ中学だったし、久米の話に寄ると前に住んでた家とは違う場所の一軒家って言うケド、そんなあたしの家と離れてないし。素直にお言葉に甘えることにしたけど、すぐに考え直した。


「ね、今から久米の家に行っていい?」と聞くと、流石に久米もちょっと驚いたように


「今から?」と目をぱちぱち。


確かに久米が言う通り、駅に到着したとき夜も18時になっていた。


遊び過ぎたかな。いつの間にこんな時間になってたなんて…


「うん…久米の―――お父さんに会いたい。


会ってちゃんと…




謝りたい」




久米の未来を、久米の願いを奪って


ごめんなさい。


て。


そんな心情を読んだのか


「鬼頭さんが気にすることなんてないのに」とちょっと悲しそうな笑みを浮かべ、でもすぐに「まぁ今日なら居るかな。午後診が休診だった気がする」と首を傾け考えた。


「殴られるかも、『とーやの将来を奪いやがって』って。そしたらあんた守ってよね」と無表情に久米を見上げると


「そんなことはないよ。親父は女の子に優しいから」と久米はふわふわと笑う。




「たとえ、どんな子でも俺が好きになった人に、反対することはない」




久米はきっぱりと言い切った。


その横顔はいつもの爽やかさを浮かべていたけれど、久米の整った横顔にあたしは『男』を見た気がした。相変わらずクッサイ台詞だったけど、久米…あんたちょっとかっこいいよ。


でも水月には負けるけどね。


将来の為…いずれ水月のご両親に挨拶に行くときのために社会勉強しよう、そう思うことであたしは久米の笑顔から目を逸らした。