■Chairs.21



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放課後の時間帯、駅前の大きな…約100店舗のテナントが入っているショッピングモールは、服のショップはもちろん、雑貨屋さんや本屋、ゲームセンターにカフェ、レストラン、映画館もあってあたしらと同年代の学生たちで溢れかえっていた。


「えっとー……コースター用のフェルト生地は買ったでしょ~、ドリンクのプラカップも買ったし、ストローも」手に持った小さなメモを真剣なまなざしで岩田さんが見ている。


「あとティーパックとかコーヒーの粉とかは食品売り場だよね」とそのメモを久米が覗きこみ


「手分けしよ」とあたしが提案。ここはちょっと歩けばどんな種類の店もあるから便利だな。


………


「何か違う」


岩田さんが言い出しあたしと久米は顏を合わせた。


お互い「「何が?」」と言った視線を行き来させていると


「違うよ!もっと、こう!ね!普通は放課後の遊びってもっとキャッキャしてるもんなのに」


キャッキャ……?


「ごめん、あたしは普通じゃないし」


「俺も、男だから女子の感覚が……」


あたしたちは同じタイミングで似たような動作で首を捻る。


「何なのあんたら、反応だけシンクロして」と岩田さんが恨みがましく睨んできて、ちょっと笑えてきた。


だってあたしたちにふつーを求めてるのが間違ってるよ。まぁ久米はかなり標準に近い男子だろうけど、だって美術バカだし?遊びだったら梶の方が。


と思って居ると


「よし!さっさと買い出し片付けて、遊ぶよ!」と岩田さんのやる気モードに火が点いた。


その後ろを大人しくトコトコついていくしかできないあたしと久米。


「岩田さんて面白いね」とすぐ前を大股でズンズン歩く岩田さんを珍種を見るような目つきで久米が眺めている。ま、実際珍種だろうけど。だってこのあたしと仲良くしてくれる女の子だよ?


だけどまとまりないあたしたち三人が買い物したところで、やっぱスムーズに行かなくて


「次は……絵具と、油性ペン……?鬼頭さんと岩田さん行ってきてよ、俺休んでるから」


と久米が勝手に決めて、ちゃっかり自分は休むモード。


はぁ?イチ抜けとか許さないから。