弁当を食べることを中断して、思わず聞きいってしまったが、残り時間もそう残っていない。僕は慌てて箸を動かすと
「……もう一つ…」
と根岸はまたも言い辛そうに目を伏せて苦しい顔つきをした。話のせいか彼の弁当の中身は一向に減っていない。
僕はちょうど鶏ひき肉の肉団子を口に入れるところで「ん?」と短く聞くと
「D組の、文化祭のアイデアを盗んだのは
―――僕です」
今日一番、ハッキリとした口調で言い切った根岸の告白に、僕は危うく肉団子を喉に詰まらせそうになった。ちょっと咳き込み慌ててコーヒーを手にする。
“どうして”と聞きたかったが声にならない。物理的に団子が喉に詰まったのと、心理的に「信じられない」と言う気持ちが働いて。
「……日直で集めたノートを職員室に持って行ったとき…
神代先生の机に置かれていた“文化祭の出しもの”と言う報告書を見つけたのは……僕です」
僕はその時の様子を思い出した。
確かに“文化祭の出しもの”と言う報告書はA4サイズのコピー用紙で、項目は何を出すのか、具体的な内容など書き記す欄があった。あれは―――…久米が書いて、僕に提出してきた。僕は―――……その報告書を…
あの時どうだったっけ…必死に記憶を手繰り寄せる。けれど詳細は思い出せない。
でも―――僕が原因を作ったのだ。



