「愛の告白だろ」
黒ビールを飲みながらまこが目を細めてさらっと言う。
「やっぱそうなのかなー…、どうしたらいいんだろ…」
「どうするもこうするも、森本姉の気持ちには応えられないだろが。これ以上この子に近づかない方がいいぜ」
まこは真剣だったけれど、でも
“鬼頭雅がこれを知ったらどう思うかな?
彼・女・と・別・れ・ろ。
さもないとこの女の命もない”
あの文章が物語ることを早々無視はできない。あの後、怪しい人物からの接触がないか心配だったから結ちゃんに電話をしたが、電話は繋がらなかった。
僕は『怪しい人影を君の家の前で見たから、なるべく家にいるように。このメールを見たら連絡ください』とだけメールを入れて、もう5時間は経っている。流石にちょっと心配になりもう一度電話を掛けようと思っていたところだ。
パールのピアスも一緒に同封されていたところから、犯人はその気になれば結ちゃんに危害を加えるのも容易いことだと物語っている。
それをまこに説明すると、まこも「う~ん…」と顎に手を置き低く唸った。
「可哀想にな、この子は何も関係がないのに巻き込まれちまって」
「それは千夏さんだって一緒でしょ」
「まぁなぁ。でも…だとしたらやっぱり森本が首謀者って説がしっくりくる……の、かなぁ。だってパールのピアスが誰のものか犯人は知ってたってことだろ?」
まこは自信なげに首を捻る。
「そうだけど……」
僕は俯きながらビールを喉に通した。美味い筈のビールは変な苦みだけがやたらとガツンと来る。出されたときはまるでソフトクリームのような泡が立っていたのに、その泡もほとんどが消えかかって白い霜のようになっていた。



