まこはその写真を手に取り、でもちょっと見ただけで飲んでいたビールを危うく吹き出しそうにしていた。
げほっごほっ!
気道の変なところに入ったのか激しく咳き込み、涙目になりながら
「な……なんっ…!」
とまだ咳き込みながら僕と写真を交互に見る。その写真は、今日僕宛に届いた手紙に同封されてたものだ。僕の車の車内で―――僕と結ちゃんが……キスをしているように見える。
「言っとくけど、やましい関係じゃないから。それはちょうど……角度的にキスしてるように見えるけど、違うから」
違うから、と何度も前置いて真剣に言うと
「ま、まぁそうだよな。お前、鬼頭にぞっこんだしな。てかそもそもやましいことがあったらこんな写真見せてこないか……」
ぞっこんて……まぁ当たってるだけに何も言えないケド。
「でもだったら何でこんな写真。合成?」とまこは首を傾げる。
「合成じゃない、事実だけど。でもキスはしてない」と僕は繰り返した。
僕はことの成り行きをまこに話した。右門 篤史との“取引”が失敗に終わったこと。その場に結ちゃんが偶然居合わせたからだ。きっと右門 篤史の方も警戒していたに違いない。僕はそのタイミングの悪さを呪ったが、結ちゃんには何の非もない。
その後意気消沈した僕は何となく流れで結ちゃんとお茶をした。そこで森本が買ったであろうシールの話になり、そして―――……
『新しい恋―――
もうはじまってるもん。
チャンスは今あたしの今目の前にあるもん!
先生は今彼女と別れてるし、別れたばかりだから違う女の子とか言われても急に無理かもしれないけど
でもあたしにとってはチャンスなの。
少しでも先生の助けになりたいの。
先生の役に立ちたいの』
あれは―――愛の告白と言えるのだろうか…



