□Chairs.20
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朝。
いつもの朝が来る。
代わりのない日常。
「先生おはよ~」
賑やかな女生徒の挨拶に、反射的に顏を上げて笑顔を浮かべる。
「おはよう」
代わりのない挨拶。
でも―――変化は現実として予告もなく僕の内側に入ってくる。
昇降口近く、まるでそこに吸い込まれるように歩く生徒たちの流れを眺めていると、
「ねぇ聞いた~?久米くん、鬼頭さんと付き合ってるんだってー」
「えー!そうなの!?」
女生徒たちは賑やかな噂話をまき散らしながら僕の横を通り過ぎて行く。
僕は誰にも知られない様、こっそりとため息をついた。
昨日決めたことじゃないか。雅と久米が付き合うのはフェイクだってことを。噂を早く回して雅の恋人が久米であることを周りに知らせること。その噂にストーカーが食いついてくることを願う。
罠とも知らず―――