HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~



昼休みを終えて、5限目の物理、6限目の歴史と言うカリキュラムを終えると、ロングホームルームの合間に、岩田さんがあたしの机に走り寄ってきた。


「ねぇねぇ!あたし聞いちゃった!」


と言う顏はどこか晴れ晴れとしていたが、あたしは「何を?」と言う思いでいっぱいだった。まぁ岩田さんだけはあたしと久米が付き合ってるってことがフェイクだって知ってるけど。他に何か知られたかと思って一瞬ぎくりとして、探るように目を上げると


「あの堤内を言い負かせたんだって!?なんかあいつ泣いてたらしいジャン」


ああ、そっちの…


「泣かせたんじゃないよ、勝手に泣いたの。因みにつっかかってきたのはあっちだから」と言うと、岩田さんはまたも笑い


「やっぱ鬼頭さんイイわ~!」とはしゃぐ。「でもサ、やっぱあのシール貼ったの堤内だよね」と声を潜めて聞いてきて、それが今朝黒板に貼られたシールのメッセージだとすぐに分かった。


休み時間や放課後、その噂話…と言うか推理は、A組の仕業だと誰もが決めつけている様だ。あたしはそれに肯定も否定もしなかった。


「ところで、ねぇ…」と岩田さんはしゃいでいた声を低めてひそっとあたしに耳打ちしてきて、ちらりと隣の久米の姿を気にする。


見られている当の本人はクラスの男子と談笑中だった。


乃亜と梶も帰りの寄り道の話で盛り上がってる。とは言えこっちは完全に見せかけで、乃亜と梶が付き合ってる話が事実であることをみんなに植え付けるため。……だけど、これが意外に盛り上がってたり…


「こないださ~新しくできたカフェがあるんだけど、一人じゃ入りづらくてさ~


でもでも!そこのパンケーキが超うまそう!なんだよね」


「あ、じゃぁ行こ~よ♪梶くんとパンケーキって激しく不釣合いだけど♪」


……



素だな。間違いなく。


まぁこの二人はフリをしなくてもいつもこんな感じだし。男女の壁を越えた友情ての?あたしは友達が少ないから羨ましいよ。


そう思っていると


「ねぇ、“あの話”ってさ……」岩田さんは更に声を低めてこそっと聞いてきた。