HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~




「行こ、鬼頭さん」


久米があたしの手をとってふいと堤内から顏を逸らす。その時点ですでに堤内が目から涙をこぼしていた。きゅっと短いスカートを握っている。


久米に言われたことが当たっていたのか、或は大好きな久米にそんなこと言われて傷ついたのか。


あーあ、泣かせちゃったよ。これだから温室育ちのお嬢ちゃんは。


ちょっと同情すら覚えたけれど、久米の言った通り、卑怯な手を使って表集めをしようとしているのはA組の方だ。PTAを使って教師たちの票を集めようとしてるくせに。


そんな陰湿な奴らにあんなこと言われる筋合いない。




「なんて噂しても、思ってもいいけど、これだけは言っておく。


あんたは愛しの久米も、そして文化祭の賞も取り逃がすことになる。


優勝はD組が貰う。





D組の底力、舐めんなよ」




捨て台詞のように言って、あたしは自ら身を翻すと、とうとう嗚咽を堪えることができなくなった堤内がしゃくりあげながら泣いていた。


誰が一番キツいかって?……あたしじゃん?あたしが堤内を泣かせたようなもんじゃん?


でも言われて、ムカついたし。


また教師の誰かに見つかって説教食らうのは御免だ、あたしは後ろを気にすることなく歩き出した。