あたしは思わず久米と顏を見合わせて、二人同時に嫌な汗が浮かんでいたことに気が付いた。
「何言って……」
久米が言いかけたときだった。
「あんたが言い出したことなんでしょ!」と堤内はあたしの方を指さし喚いている。
まぁあたしが言い出したことには間違いないけど。
「ちょっと、言いがかりを付けるのは…」と久米が話を遮ろうとしたけれど
「どうせヤラセに決まってる!
劇の主役二人が付き合ってたら、話題性になるしね!」
………
あたしと久米は思わず顔を見合わせ同時に目をぱちぱち。
「……は?」
自分でも間抜けな声が出たと思うけれど、誰もこの状況の中あれこれツッコむ人もいない。
「そうやって話題作って劇に人を来させようとしてる魂胆バレバレなのよ!」
……なるほど
そう言うことは、全然考えてなかった。
思わずキョトンとして堤内を見ていると
「ねぇ久米くん、どうせ演技なんでしょ!鬼頭さんに押し切られてそう演じてるだけなんでしょ」と『そう言ってよ』と懇願にも近い物言いで久米に勢い込み
いや、むしろこいつ(久米)が迫ってきたぐらいだし。
と再び心の中でツッコミを入れる。
「断じて言うけど、俺たちが付き合ってるのはそうゆう打算的な理由じゃないし、この際だからハッキリ言うけど
俺は鬼頭さんが好きだ。
そもそも文化祭はそんな卑怯な手を使わずとも堂々と勝負する。
“そっち”とは違ってね」
驚く程低い声で久米が言って、その低い……とても静かな怒気があたしの背中から伝ってきてお腹の方まで響いてくる。



