HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~




面倒なヤツに捕まったな。


と、一瞬思ったけれど


関わらないのが一番、と言うわけで何事もなかったようにその場を立ち去ろうとしていると


「ちょっとぉ、ぶつかってきたのに謝りもせずにどーゆー神経」


と堤内が再びあたしの肩を押す。


てかぶつかってきたのそっちじゃん。と思ったものの、油断していたのもあるし、思いのほか堤内の力が強かったのもある、あたしがよろけると、


すっ、と腕が伸びてきてあたしの体は転ぶことなく背後からやんわりと抱き止められた。


「大丈夫?鬼頭さん」


確かめるまでもなく、久米なんだけど。


何かな……こういうときって王子さま……この場合水月に助けられたいよ、とちょっと思っちゃったり。


「く、久米くん!違うの!ちょっとぶつかったら大げさに鬼頭さんがっ」


と堤内が必死の言い訳。


「はぁ?ちょっとぶつかった?」思わず顔を歪ませると


「俺、見てたよ。堤内さんが鬼頭さんを押すのを」久米が声を低めてあたしの肩を一層きゅっと抱き寄せる。


「やだな~!そんな風に見られてたってこと?」と堤内はわざとらしく惚ける。


「そんなことどっちだっていいよ。関わるのが面倒。


行こ、久米」


あたしが久米の手を握ると、その言葉が気に入らなかったのか、堤内が今度ははっきりとあたしの肩を押し、「おっとぉ」と再び久米が抱き止めると言う形になった。


廊下を歩いていた生徒たちが何事か噂話をしたり、と言った感じで足をとめる。


「何なの!可愛い子ぶって!」


ちょっとした人だかりができてることに気付いていないのか、突如堤内が怒鳴り声を挙げた。


別に…可愛い子ぶってるワケじゃないし。


「ちょ、ちょっとツッチー」と周りの女子がハラハラした面持ちで堤内の肩に手を置くも、その手を乱暴に払って


「そうやって飄々としてられるのも今の内よ!


あたしは知ってるんだから!」


は?何を―――?




「あんたたちが付き合ってるって噂、あれってパフォーマンスなんでしょ!」




は―――……?


堤内、どうしてそのことを―――…?