HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~




そんなわけで半ば強引に連れてこられたあたしは掲示板にちらしを貼りはり。


画鋲で四隅を止めていると、すぐ近くにA組の『マーメイド喫茶&ミュージカル』と言うちらしが目についた。


どこも考えることは一緒なんだな。


A組のちらしの真ん中に当然のように笑顔の堤内の笑顔が。てか毎回思うケド、ホントこの堤内化けたな。てか加工技術が凄いのか?別人みたいだ。


あんたたちには負けないよ、と思ってたからか画鋲が強く板にめり込んで、もう一角画鋲を刺そうとしていると、すぐ背後から腕を伸ばした久米の手があたしの手に重なり、あたしをすっぽり包み込む形になった久米。


「怪我するよ」と言いながらそっとあたしの耳元に顏を寄せてくる。


「これぐらいで怪我なんてしない」と前を向いたままそっけなく言うと




「俺、得意なんだ、接近戦」




と意味深に囁かれる。


「あー、そんな感じする」と適当に頷いていると、あたしたちの後ろを通りがかった生徒たちが奇声のような声を挙げてすれ違った。


どうやら久米の言う接近戦てのはカップル説を効率化するために役立ったと言える。見ようによっちゃ後ろからハグみたいな感じだし。


二階の掲示板にちらしを貼り終え、残ったちらしを持ったまま三階に上がろうとして、そのふしに久米の手から一枚のちらしが風に飛ばされた。慌ててそれを拾いに行く久米。ちょっと久米と離れたときだった。


ドンっ!


誰かと派手に肩をぶつかった。


訂正、ぶつかられた。


いってぇな。


思わず顔をしかめ前を向くと、A組の堤内をはじめとする数人の女子がにやにやした様子で立っていて、あたしは目を細めた。