HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~



あたしの目的はあたしが久米と付き合ってると思わせること。


『まずは内外から一気に攻め込む』


昨日集まった七名の会議時、あたしが提案したことその1。


『あたしの彼氏が誰だか判明していないこの状況を利用する。あたしは久米と付き合ってる、そう思わせるのが手っ取り早い』


と言うと


『でも……それだと久米くんが狙われるかもしれないし…』と乃亜は渋っていた。


『狙われてる状況は変わらないよ。例え俺が鬼頭さんと本当に付き合ってあろうとなかろうと』


『そ。久米には悪いケドそう言うことにしてもらう』


『それって囮捜査ってヤツか!』


と珍しく頭の回転が速い梶が勢い込み


『まぁそんな感じ』とあたしは頷いた。




『ストーカー犯の協力者はあたしと久米が付き合ってることを


必ず首謀者、もしくは実行犯に伝えるだろうから、そこからが勝負だよ』



あたしの提案に異論を唱えるものはいなかった。けれど賛同もしていないようだ。誰もが何かを考えるように俯いていた。妙な沈黙を打ち破ったのは久米だった。


『幸いにも俺は守りたい者がいない。鬼頭さん以外。


身軽な俺が()るのが一番だよ』


身軽―――……と言う言葉は文字通り軽い言葉だったが、久米は敢えてそう言ったに違いない。


どっかで聞いた台詞かと思ったら、それはあたしが一年前に水月に言った言葉と一緒だった。


守らなきゃならないものがない。


そこまで行き着くのに、たくさんの時間が掛かった。久米もきっとーーーたくさん悩んだ違いない。


久米、今はあんたの気持ち痛いほど分かるよ。


ありがとうね。そう言って貰えてあたしは―――


救われた。