HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~


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久米とは、そうして手を繋いだまま駅から学校までの道のりを歩いた。


目の前を登校途中だろう小学生たちが、CMでおなじみの有名曲を、これまた上手に替え歌で口ずさんで横切っていった。


「……なんかさぁ、俺たち“カップル”じゃない?もっと楽しそうにしようよ」


手を繋いでいた久米が呆れたようにあたしを見下ろしてきて


「無理。だってあたしは誰といたってこんな感じだから」


そっけなく答えると、久米は小さく吐息。


「まぁそれはそうだけど…」


「お喋りだったらあんたの方が得意じゃん?昔から」


「まぁ?得意て言うわけでもないけど、あの時は俺の話を真剣に聞いてくれたの鬼頭さんだけだから」


「あたしも別に真剣だったわけじゃない。ただツッコミどころはあったけどね」


「ツッコミ…」言いかけて久米は爽やかに笑った。


「うん、そうだね。鬼頭さんらしいっちゃらしい」


「じゃぁ、あたしらしさで言うと


『水 兵 リーベ 僕  の  船  名 前 が ある シップ ス ク ラー ク か(※)』」


「………」


あたしの発言に久米は黙り込み、「原子記号の語呂合わせ(※)…て」とガクリ。


※昔はこんな風に語呂合わせで覚えたものですよ^^
 水 兵 リーベ 僕  の  船  名 前 が ある シップ ス ク ラー ク か。
 H He Li Be B C N O F Ne Na Mg Al Si P S Cl Ar K Ca



「こんなのでもいいよ。産、医師異国に向かう産後(※)」


「今度は円周率……」


※:産、医師異国に向かう産後→(3.1415926535)こちらも語呂合わせですね^^