案内された先は小さな回転式のラックで、そのラックにたくさんの種類のシールがぶら下がっていた。


「あ、あった。これだ」と僕はわざとらしくシールを手に取り


「また無くすといけないからたくさん買ってけば?」と打ち合わせ通り梶田が助言。


「そうだな」僕は棒読みにならないように気を付けながら三セット程シールを引き抜いた。


一枚のシートに貼られているのは30枚程。合計して90枚。


「ちょうど良かった。人気商品みたいだし、俺の嫁にも買っていこうかな」と、まこがもう一シートを手に取り


「え?そうなの?じゃぁ俺も…か、彼女に買ってこうかな~」


と梶田も嘘を並べながらシールを手にして、僕たちは合計5セット手に入れることができた。充分な量だろう。


こうして手に入れたシールを駐車場に持ち返り、三人とも同時に


「「「はぁー……」」」


とため息を吐き、思わずその場にしゃがみこんだ。


店員さんに変な目で見られている思ったが、彼女は僕たちの嘘を完全に信じきっているようで、会計をしている最中


「彼女さんたちが羨ましいです。サプライズ的な?女性ってそう言うの好きですから」


と笑っていて、僕たちはぎこちなく笑った。


そうして手に入れたシールをひらひらさせてまこが


「まぁ?ホントに“サプライズ”だけどな」と目を細めてシールを眺める。


因みにこのシールはネット販売をしているのか、さりげなさを装って店員さんに聞いたが「生憎、店舗だけの取り扱いでして」と店員さんは申し訳なさそうにしていたが、僕たちはその情報こそが欲しかっただけで……


つまりストーカー犯もここに来た、と言うことになる。


そして何らかの形でそのシールがここに売ってることを首謀者(?)に言ったのかもしれない。


僕たちはシールを手に入れて、学校へUターン。


夕方も18時。文化祭の為にがんばって居残りしていた生徒も流石にこの時間とあって誰一人として居らず、僕たちは三人でハイタッチ。




さぁ


ここから犯人、もしくは共犯者に




とびきりの“サプライズ”だ。