久米が絵を描けなくなった最大の理由―――
それがこの事件とは無関係だと思われたが、文字通り久米にとっては命取りだ。
雅は僕たちのこの微妙な顔色の変化に気づいていないのか、ひたすらに急いでいるのか
「じゃぁこれからの作戦を立てる―――みんな集まって」
と再び手を叩きその沈黙を打ち破った。
みんな何も言わずに一歩踏みでると、自然七人で円陣が出来た。
「ここからは団結力が勝負だよ。あたしたち七人……ううん、右門 篤史も居れたら八人
力を合わせないと」
雅の言葉に全員が同じタイミングで大きく頷いた。
――――
――
作戦会議が終わって、一人…また一人と時間を空けて教室を出ていく。
これも作戦の内の一つで一番最初にこの場を出たのは楠 兄妹。
「じゃぁな雅」
楠 明良が不安そうに手を振る。同じように楠も心配そうに振り返った。
「あたしは大丈夫。それより明良兄、乃亜を守ってあげて」
「任せろ!」
楠 明良は意気込んだ。
大丈夫、彼ならしっかり楠を守ってくれるだろう―――安心して楠を帰せる。
そう思ったが当の本人……楠が勢いよく振り返り、教室内の雅の元へ走っていく。
どうしたものか、と思っていると
楠が予告もなしに雅を抱きしめた。
ちょっと驚いて目をまばたいていると、同じように目を瞬いている雅も楠の腕の中固まっていた。
「ごめんね、雅―――
騙すようなことしてごめん」



