HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~





「と、これまでのまとめは以上。何か質問は?」


この会の仕切り役の雅が軽く手を叩き、それでも全員が口を閉ざしたまま誰も意見する者がいなかった。


久米はこの短い説明ですべて消化したのか妙にすっきりした顔をしていたが、代わりに楠 明良と梶田はどこか納得いかない顔つき


楠は益々不安そうに顎を引き俯いていて、まこは顎に手を置いて目を険しくしながら考え込んでいる。


沈黙が続く。


その沈黙を数分間だけ待ったのち、やがて雅はまたも手を挙げると


「これであたしたちのカードは出そろった」


と一言。


僕は―――


ちらりと楠の方を見て、楠もちょっと眉を寄せて僕を見てきた。


そして次いで今度は久米を見ると―――久米はまっすぐ射るように僕を睨んでいた。



逸らせない強い視線。


何もかも吸い込み、魂までも乗っ取られそうな抗えない強い視線。


はっきりと“敵意”と分かる視線……なのかどうも定かではなかったがそんな視線を向けられ僕はその視線から逃れるように慌てて強引に顔を逸らした。


逸らした先で、今度はまこの視線とぶつかり、彼も居心地悪そうに頭の後ろを掻いている。









カードはまだ出そろっていない。







僕はまだ君に隠し事をしている。


けれどこの“秘密”をこの場で言うわけにはいかないんだ。


右門 篤史との約束がある限り―――