HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~




「……音―――かぁ。


お前、やっぱ何もんだよ。女子高生の皮を被ったCIAか」


まこが感心してるのか、はたまた呆れてるのかちょっと吐息をついて


「どーも、ほめ言葉だと受け取っておくよ」


雅は大したことじゃないようにさらりと受け流した。


「乃亜のたった一瞬のミスが全てを結びつけた。それまでは完璧だったよ。



乃亜と久米は」



名指しされた二人はそろって押し黙り俯いている。



一方の梶田と楠 明良は納得いかない何かを抱え込んだように苦い顔をしてそれぞれ視線を逸らす。


「と、まぁそこまでがあたしのたてた推論だけど、決定付けたのは梶の言ったダブルカフェ作戦だよ」


「何だよダブルカフェ作戦って」まこが顔をしかめ


雅はホワイトボードに"Foxed”と文字を書いた。


「あたしと梶はUSBを使って乃亜に、あたしがこのカフェで犯人を待ち受けるって書いて送った」


楠がわずかに顔をあげ、久米は黙ってその先を聞いている。


「でも実際には向かいの“empoisonné”て言うカフェ。犯人をおびき出すのは簡単だったよ。


典型的なストーカー犯罪の犯行はターゲットの持ち物を全て持ち去るか、盗み見る傾向があるからね。


あたしはゴミ袋にわざとらしく“empoisonné”に行くと言う痕跡を残して捨てておいたら面白いほどあっさり引っかかってくれた」



雅は何でもないようにさらりと言ったが


僕が頭痛がしてきた。



「何でそんなこと…」