「でも……鬼頭は…何で乃亜ちゃんが久米の協力者だって分かったわけ?
USBのカフェ作戦のときはもうすでに見抜いてたんだろ?」
しんみりした話はどうも苦手なような梶田が切り出し、僕もそれは不思議に思っていたところだった。
いや、僕はある程度楠が久米と親しい間柄だったと分かったのは、彼女がこっそり渡してくれたUSBメモリ内の手紙で、だ。
それより前でも、それより後でも状況的に見抜くのは難しい。
雅だってもっとも信頼していた姉のような楠を真っ先に疑ったわけじゃあるまいし。
「分かったのは乃亜が明良兄にメールしたときだよ。梶と乃亜と三人で図書館から帰るとき。
あたしらが長谷川製鉄所に向かおうとしたときだよ」
雅は腕を組みながら楠 明良を目配せ。
一方話を振られた楠 明良本人は
「え?俺??」
と自分を指差し、目を丸めている。
楠自身も気づいてないようで、不思議そうに雅を見つめ
雅は説明する意味で、楠にケータイを出すよう指示した。
「重要なのはメール画面じゃなく、音」



