視聴覚室に向かう途中、来賓の出入り口で誰かが警備員とモメている声が聞こえた。
「OBだって!?絶対に違うだろ!身分証明書を見せなさい。
この所この学校付近で不審者が目撃されている。怪しい人物は入れないよう校長先生から指示が出てるんでね」
「だから卒業名簿を確認しろって言ってンだろ!」
楠 明良が靴のまま来賓の玄関口で警備員と口論している。
「楠!」
僕は彼に声を掛けると、楠 明良は険しかった視線をふと緩めた。
「神代先生……」
ほっとしたように吐息をつく。
「すみません、僕が彼を呼んだんです。去年の卒業生で間違いありません。
彼のその後…大学生活なんかを聞くために。生活指導の一環でして」
確認されれば僕が彼のクラスを受け持ったことなどないと見破られてしまうだろうが、今はその言い訳しか思い浮かばなかった。
だけど
「……そうでしたか。それは失礼いたしました」
警備員はあっけなく楠 明良を解放。
「言っただろ?」
楠 明良は不機嫌そうに言って警備員を睨みつけながら靴を脱ぐと、乱暴に来賓用のスリッパに履き替えた。
警備員が僕たちの姿を見送っている中
「あんたが来てくれて助かった」
楠 明良はほっとため息。
「僕たちの“会議”のためだ。ここで騒ぎを起こされるわけにはいかない」
こそこそとやり取りをして視聴覚室に向かう最中
「Hey ミッキー♪」
今度はシャーロット先生に引き止められた。
次から次へと。



