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夢の中で、あたしはいつも夕暮れに染まった空をぼんやりと見上げていた。


懐かしい中学の教室の大きな窓。白いカーテンが風ではためいている。


教室の窓際の机に腰を降ろし、手元にはスケッチブック。


絵なんてまるで興味がないし、ついでに言うと描くのも下手。


だけどこの頃美術の課題で絵を仕上げてこなきゃいけなかったんだ……







『―――何してるの?』







声を掛けられてあたしは振り返った。


窓から差し込む夕日でその声の主の顔は見えない。


でも首から下の制服で、それが同じ学校の男子生徒だと分かった。


手にはあたしよりももうワンサイズ大きめのスケッチブック。



『こんなところで何してるの?もう授業終わってるよ?』



彼はもう一度怪訝そうに言った。


微妙に声変わりをした、不思議な声。


少年のような、女のような。




あたしは無言でその生徒にまっすぐ視線を向けた。



彼はちょっとびっくりして一歩後退したものの、すぐにはにかんだ笑みを浮かべた。