HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~




あたしは外界を遮断するかのように電源を落としたケータイに手を忍ばせて、そっと電源ボタンを押した。


誰かに何かを言われても揺らぐことはないと思ってたのに


あたしはみんなの力を求めている。


いつからこんなに弱くなったのかな…


水月に出会って恋をして


梶に出会って友情を知って


乃亜や明良兄が隣に居てくれて、家族の温かみを知った。



そしてともに戦うことを気づかせてくれた大切な友人も



できた。



「先生―――」


あたしはケータイを手にしたまま保健医を見上げた。


「何?」


「内科医もお似合いだけど、精神科医も向いてるんじゃない?」


無理やり笑うと、


「俺はカウンセリングしたつもりはねぇよ。お前が求めるのは、お前自身が成長したシルシだ。


人は誰しも一人じゃ



生きていけないからな」



そうだね



一人じゃ



生きていけない。