HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~




あたしはスマホ画面を見つめながらその文面を何度も何度も読み返した。


きっと乃亜だってこのメールを打つのに悩んだはず。


“繋がらない”のはあたしがしばらくケータイの電源を切ってたから。


ストーカー犯からメールが入ってくるのもウザかったし、誰かと話す気分にはなれなかったから。


「いい加減仲直りしたら?


確かにお前の取った行動は犯人の目を欺くため最良の方法だったと思うけど


一人じゃやっぱり限度がある」


「一人じゃないよ。先生だって居るじゃん」


すぐ隣に座っている保健医を見上げると、保健医はくすぐったそうに苦笑。


「気持ち悪いな、お前がそんなこと言うなんて」


「それに久米だって居る」


「だけど久米の全てを信用できるわけじゃないだろ?


お前だったらその信用ならない久米ですら利用して、犯人に近づけるとは思うけど


でも


楠兄妹や梶田、それから




水月がいれば




もっともっと心強いんじゃないか?」



もっともっと


心強いよ。




みんながいれば、あたしは絶対に負ける気がしない。