「このカードを発見したとき、偶然梶田も居た。
梶田も『婚約者のためにも手を引いた方がいい』って言ってたよ」
「梶の言う通りだ。
普段バカばっかやってるけど、あいつたまには良いこと言うじゃん」
保健医はカードを手にしたまま天井を見上げ、
「でもあいつはまだお前の力になろうと必死だぜ?
弱みを握られている俺の分まで動いて、何とかしようと今でも諦めてない。
なんだろうなあれ。
愛の力ってヤツ?」
保健医はわざとチャラけて軽く肩をすくめる。
「愛の力じゃなく友情の力だよ。
てか梶……まだ諦めてないの?
遠ざけられたと思ったのに…」
ため息を吐いて再び頭を抱えると
「そんな簡単に遠ざけることができたら、愛はおろか友情なんて最初からねぇだろ?
どんな形にしろあいつはお前が大事なんだよ。
こいつもな」
保健医はそう言ってケータイをテーブルに滑らせた。
黒いスマホで、大きな画面はメールが開いてあった。
楠 乃亜<Noa.K-pinkroseXXXXX@XXXne.jp>
20xx/10/xx 17:09:38
先生、今朝は怒鳴ったりしてごめんなさい。
雅に何度連絡しても繋がらないの。
もう嫌われたのかな…?
あたし、雅を守りたかっただけなの。
裏切るようなことをして、今は後悔してる。
雅に伝えてください。
「ごめんね」と。
聞き入れてくれないかと思うけど、先生からも言ってください。
迷惑かけてごめんなさい。
乃亜――――……



