久米が立ち止まり、目を開いてあたしを見つめている。
あたしは遠ざかった久米に歩み寄り
「ありがとう…」
バカなあたし。
何を言うのか心の中で分かっていたのに。
ちゃんとお礼しなきゃ、って、ずっと思ってた。
「守ってくれてありがとう」
たった五文字なのに、ようやく伝えられた。
ありがとう
ありがとう
ありがとう
あんたが居てくれて、あたしは救われた。
「……鬼頭さん」
久米があたしに駆け寄ってくる。
あたしは歩みを止めなかった。
「鬼頭さん」
もう一度名前を呼ばれて、あたしはその瞬間久米の腕の中に抱きしめられていた。



