■Chairs.17



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あたしと久米は、彼のベッドに並んで座り、それぞカフェオレとホットコーヒーを飲んでいる。



「てかさー、美術バカ。あんた何でそんなにデカくなったの。昔はあたしと並ぶぐらいだったのに。


声も低くなって。


可愛さの欠片もないじゃん。


見た目も中身も」


体育座りをしてカフェオレのカップに口をつけると


「そりゃ二年も経てば男なんて成長するよ」


と久米は苦笑い。


「……二年間…どうしてたの?」


気になってたことを聞くと、


「母親が亡くなるまで母親の実家に。叔母夫婦と従兄妹もいたから結構楽しかったよ」


久米が『楽しかった』と言うのは、本当だろう。


「俺は一人っ子だったからさ、従兄妹たちが兄弟みたいだった。


はじめてできた兄妹。特に妹の……真愛は可愛かった」


「何、あんたシスコン?」


冗談ぽく言ってやると、


「鬼頭さんもシスコンじゃん。楠さんにべったり」


と返された。


「べったりって程でも…」


「だからさ、彼女を巻き込んだときは、ホントに申し訳なく思った」


顔を上げると、久米は「申し訳なく思った」と言う言葉以上に苦しそうに眉を寄せ、口元に強引に笑みを浮かべていた。


「いいよ」


あたしはその顔を見ないようにして、カフェオレのカップに口を付けた。