HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~




僕が言葉も出せずに結ちゃんを凝視していると、


「い、一枚だけだよ。


そりゃ勝手に取ったのは悪いけどさ、でもシールだし。


まだたくさんありそうだったし。


大体エミナだってあたしのピアス……」


結ちゃんは説明をくれたが、僕はその説明を遮って、


「いつの話!」


思わず勢い込んでいた。


「…いつって言われても……二週間前…かな」


結ちゃんはちょっと考えるように小首を傾げて、


「日にちまではっきりとは…」と言葉を濁した。


二週間前―――……久米のところに頻繁に届いていたと考えれば、日付的にも合う。





雅をストーカーしているのは幼稚で浅はかな男だ。


ヤツ一人でここまで実行するのは不可能。


現に僕たちはヤツの思い通り、バラバラの状態だ。


でも


その協力者と言うのが、ストーカー犯を利用して雅を陥れようとしている、頭の良い女の子だったら―――?






森本だったら



そこまでの計画を立てられる頭脳を持っている。



そして何より、



雅のことを毛嫌いしている―――




動機はある。