「分かるよ。じゃなきゃ一人でここに乗り込まないし」


「じゃぁ何でそんなに落ち着き払ってるの?


俺も男だよ?」


久米は意地悪そうに笑って口の端を曲げる。


「知ってるよ?」


あたしが言うと久米がは無言で立ち上がった。


久米はあたしのすぐ横に腰を降ろして、あたしの両肩に手を置く。


その手付きは口調とは反対に優しくて、制服の上から通してもあったかい。


久米があたしのブレザーのボタンを外すのが分かった。


「寒いって言ったよね?


あったまりたくない?」


そう聞かれても、それに対してあたしは何も答えず、また抵抗することもせずに無言で久米を見あげた。


久米の手が、あたしのブレザーの袖から腕を抜き取ろうとする。


「あたしの話聞いてた?寒いって言ったの。


何で脱がそうとしてんだよ」


そこでようやく久米の手を払おうとしたけれど、久米の手は乱暴にあたしの両肩を押してベッドに倒す。


視界がもの凄い勢いで回り、あっという間に天井の白さが入ってきた。


ドサッ


ベッドに倒されて、あたしは久米を見上げた。


久米は僅かに眉を寄せてあたしを見下ろしている。


苦しそうな、切なそうな―――…そんな表情を浮かべて、


でもあたしには必死にワルい男を装っているようにしか見えない。


久米はあたしのブラウスから乱暴にネクタイを抜き取った。


久米の顔が近づいてくる。





「鬼頭さん、



俺は君が思うほど、安全な男じゃないよ?







俺を鬼頭さんをこの場で簡単に―――……」





久米が目を細めてあたしの顔に近づいてくる。僅かに顔を傾けて、


久米の睫があたしの瞼をかすめて、くすぐったい。


唇と唇が触れ合う瞬間。