□Chairs.14



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二限目の授業を終えて、僕は数学準備室に向かった。


戸を閉めようとしたけれど、最後まで閉まりきらず楠が滑り込むように入り込んできて、


パタン


後ろ手に引き戸をしめた。


楠は緊張した面持ちでゆっくりと僕を見上げてくる。


あるいは困惑か。


どちらかの感情が彼女の表情を強張らせていた。


楠はぎこちなく顎を引くと、


「話って何ですか?


あたし知ってることってもうないですよ」


と探るように聞いてきて、僕は思わず苦笑い。


「そんなに構える必要はないよ。僕の質問に2、3答えてくれればそれでいい」


僕がそう言っても楠は戸惑ったように視線を逸らして、それでもすぐに近くの椅子を引いた。


楠が腰掛けるのを見届けて、僕は彼女の前に移動すると


出入り口を塞ぐように彼女の前に立ちはだかった。






「単刀直入に聞くよ。




君と久米の関係は―――?」






身を屈めて楠の椅子の背に手をつくと、楠は目を開いた。