HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~





岩田さんは本気であたしを心配してくれているようだった。





乃亜以外―――……


こんな風にあたしのことを考えてくれる女友達ってはじめてだ。





そんな岩田さんを、あたしは裏切っている。





水月と別れたばかりなのに、今度は岩田さんが好きだった久米と付き合ってるなんて知ったら、どう思うだろう―――


あたし


今度こそ岩田さんに顔向けできないよ。




―――失いたくないな。




それは初めて芽生えた感情。




だからこそ―――


隠していたら余計にいけない気がした。





水月のことを考えると、知られちゃならない―――そう思ったけれど、



それ以上に



なんだか辛い。







キーンコーン…


鐘の音を聞き、あたしと岩田さんは顔を上げた。


乃亜や梶が居る教室には戻り辛いケド、でも今は岩田さんと二人きりってのも辛い。


「あ~あ…休み時間って短いよね~」


岩田さんが腰を上げる。


「次、なんだっけ??あ、そだ歴史だ。あたしあのハゲ(歴史の先生、ちなみに男)嫌いなんだよね~」


「岩田さん……」


あたしはそんな彼女の手を引いた。


「鬼頭さんもハゲ嫌い?」と岩田さんは全然的外れなことを聞いてきて、笑顔を浮かべた。


ハゲはあたしも好きじゃないけど




「次、サボらない?話したいこと、



あるんだ」