岩田さんは忌々しそうにカフェオレの缶を握ると、
「A組は保護者がPTA役員ってのが多いんだよ。だから親たちが必死になって票集めしてるって噂。
先生の大半も石原が怖くてA組に票を入れるって噂だし、D組の優勝はないってあちこちで言われてる」
「何それ―――……」
「だよね。ありえないよね!うちらだって一生懸命なのに」
本当だよ。マジで卑怯な手を使って―――
あいつらはプライドとかないのかよ。
水月はこのこと―――知ってるのかな……
知ってても、卑怯な手に屈する人じゃないことが分かってる。
A組がそんな手を使ってまで優勝したいのは、やっぱり内申が大きく関わってるからだろうか。
「ふざけんじゃないよ。
好きにさせてたまるかっての」
ギシリ…
あたしの手の中で缶が大きく音を立てた。
D組の底力を舐めんじゃないよ。



