どれぐらい時間が経っただろう…
キーンコーン…
鐘の音であたしは目が覚めた。
鈍い痛みは完全には引いてはいないけど、それでも息苦しい程の鈍痛は薄れている。
眠っている間に痛みの波をやり過ごしたようだ。
「よぉ。どうだ?痛みの方は」
あたしが目を覚ました気配を感じたのか、保健医が無遠慮にカーテンを開けて、横たわったままのあたしを見下ろしてきた。
「……うん、ちょっと治まった」
目だけを上げて答えると、
「少し顔色も戻ったか」と保健医が少し安心したように頬を緩めた。
さっきはそっけなく見えたのに、こいつはこいつなりに心配してくれていたんだろう。
「もう少し寝てくか?」
そう聞かれたときだった。
ガラっ
保健室のドアが開いた音が聞こえて、
「まこ。…み…鬼頭の様子どう?」
―――水月の声が聞こえた。
保健医は何も言わずにカーテンを閉め、再びカーテンの向こう側に身を翻した。
水月……岩田さんにでも聞いたのだろうか。
あたしは口を押さえて布団の中に再び潜り込んだ。
心配してくれるのはありがたいことだけど、変な風に緊張してドキンドキンと心臓が早鐘を打つ。
息を殺して布団越しに彼らのやり取りに耳を傾ける。
「鬼頭なら寝てるぜ?病気でもないし心配することない」
「そっか、それなら良かった……起こしちゃうと悪いから僕は行くね。
ごめん、鬼頭の傍についててやって?」
水月の声が心配の色を滲ませ、こちらを気にする様子があったけれど、
―――ベッドの中を覗いてくる様子はなかった。



