TENDRE POISONが残り半分となったところで、あたしは香水を変えることを考えていた。
水月はこの香りが好きだと言った。
あたしも気に入ってるけど、何となく―――
心機一転したかった。
あたしにとって香水を変えることは髪型を変えてイメチェンすることと同じ。
髪型を変えると、洋服だっていつもと違うものを選びたくなるでしょ?
メイクだって、小物だって全部。
もちろんあたしは服装の好みも、メイクも自分の好きなものがあるから変えるつもりはないけれど―――
まぁ単なる気分転換だね。
ヒプノティックプアゾンを貰っても、あたしはしばらくそれを使うことはしなかった。
何故かって?
単に前の香水が残ってたから。
香水のボトルは彼と生活するマンションの部屋のチェストの上に飾って、
しばらく眺めて
ようやく使い始めたのが最近のこと。特にきっかけなんてない。
前の香水がなくなっただけだから。
新しい香水は―――
媚薬的な妖しい香りと―――お菓子のような甘さが溶け合って
大人でもない、少女でもない
不思議な香りを醸し出す。
香りの催眠術にかかったように―――
この頃あたしの夢はいつも不思議な見ていた。