HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~




痛い程の視線を集めながら、


「いいね。必ず来るように」と念押しして僕は今度こそ教室を出た。


―――


次の授業の準備をするため、職員室の扉を開けると中に居た先生たちがひそひそ小声で何かを喋っていたが、


僕が現れて僕を視界に入れるととみんなピタっと口を閉じた。よそよそしく顔を逸らす。


何なんだ…?


嫌な雰囲気に顔をしかめて机に出欠簿を置いていると、


「Heyミッキー。気にしちゃだめヨ」


とOC(オーラルコミュニケーション)のシャーロット先生が心配そうに僕の肩を叩いてきた。


どうでもいいけど、僕をミッキーって呼ぶのはどうかと……


ミツキだから??呼びやすいのは分かるけど、恥ずかしい…


だけど


「気にしちゃだめって?」僕が聞くと


「文化祭のことヨ」とシャーロット先生がちょっとだけ眉を吊り上げて腕を組んだ。


「文化祭??」


「しゃ、シャーロット先生、そのことはここでは!」


シャーロット先生のすぐ後ろから和田先生が慌てたように顔を出し、シャーロット先生の腕を引いた。


この様子からすると和田先生も何か知っているに違いない。


「教えてください。何があるんですか?」と僕がちょっと眉間に皺を寄せると、


和田先生は諦めたように吐息をつき、周りを気にするようにきょろきょろ。


「ちょっとここじゃなんですから」小声で言われて、


僕とその場に居たシャーロット先生は彼の準備室に連れて行かれた。