それでも保健医は梶や水月とは少しだけ様子が違う。


「お前っ、そんなこと思ってたのか?俺がいつお前の邪魔したよ。お前が俺の前をうろちょろしてっからだろが」


元々あたしたちは仲が良かったわけじゃない。


顔を合わせると喧嘩ばかりの二人だったから、たぶんこいつが怒ってるのは本気だろう。


「あたしがいつあんたの前をうろちょろしたって言うんだよ!ってか離してよ。


暴行罪で訴えてやる。幸いにも警察署の中だし」


あたしが負けじと言い返すと、


「いい加減にしなよ!」


本気でいがみあっているあたしたちの間に水月が割って入ってきた。


ガン垂れながら顔を突き合わせているあたしたちを引き剥がすように両手で押しやって、距離を取らせる。


「まこ、雅の挑発に乗るな。君も大人になってくれ!」


水月が保健医を睨んで声を低めると、


「挑発?んなわけあるか!これがこいつの地だ!いつもいつもふざけやがって!」保健医は声を荒げた。


「まこ!」


水月が保健医の態度を咎めるように大きな声を上げ、


……ってかさすが教師なだけある。その声ははっきりとよく透っていて、おなかの底まで響いてきた。


水月は真剣な顔であたしを振り返ると、




「雅、君は僕たちを遠ざけようとわざと言ってるんだろ?


だけど僕は君の気持ちには気付いているし、もう一人で闘おうとするな。




僕は君を愛してる。




僕が君を守るから」