「水月」
通話を終えた、まこに呼ばれて僕は彼を見た。
「お前んとこの学年主任からだった。お前に通じないから俺が居場所を知らないかって。水月、大変なことになってるぞ」
電話を終えたまこが、珍しく余裕のない声で顔色を蒼白にさせて僕の肩を掴む。
掴まれた肩が痛い程だ。
学年主任―――……
「どうしたの?生徒に怪我?もしかして僕のクラス―――?」
まこは一瞬だけ言いづらそうに顔を伏せたけれど、すぐに取り直して、
「鬼頭と梶田だよ。
詳しいことは分からないけど、あいつら事故に遭って―――
今警察に居るって」
バサッ
僕の手からスケッチブックが落ちた。
風で吹かれてページがめくりあがり、最後のページが開いて
雅のこぼれるような笑顔と、久米の色あせた血液の痕がぼんやりと目に入る。
神様
僕はどんなものでも捨てられる。
“教師”と言う立場で足りないのなら、
この命を捧げる。
だから
彼女の命を奪わないで―――
どうか