真愛ちゃんが目を開いて僕を凝視した。
「―――……え?」
一呼吸置いて怪訝そうに眉根を寄せ、そう聞き返され僕は戸惑った。
何とか分かってもらわないと、下手したら僕が雅を尾け回しているストーカー犯だと思われる。
教師であることを証明することは意図も簡単だったのに、“恋人証明書”なんてこの世のどこに行ってもある筈がない。
ついつい免許証を提示するときの癖で上着のポケットをまさぐった。
胸ポケットにケータイが入ってることに気付き、突如閃いた。
「そうだ。これ、彼女と撮った写真が入ってるんだ」
ケータイの画像フォルダを開いて、その一枚を真愛ちゃんに見せる。
画像は少し前の連休に雅と遠くに行ったとき、二人で記念で撮ったものだった。
航空博物館だったか。大きなパラボラアンテナのオブジェの前で、僕たちは寄り添って笑顔を浮かべている。
同じ画像が雅のケータイにも保存されている……筈。削除されてないよな??←不安
ケータイの画像をまじまじと見つめて、真愛ちゃんは
「ホントだ…」と言って目をぱちぱち。
二人の写真を見て、一応は信じてくれた様子だが。
「え…でも、先生と生徒―――……ってこと?」
「まぁそうなるね。人には言えない関係だけど、僕たちは真剣な交際をしている」
「このこと冬夜兄ちゃんは―――……」
その質問にどう答えていいのか一瞬悩み、すぐ隣のまこをちらりと見たが、彼は軽く肩を竦めるだけだった。
僕は小さく吐息をついて、諦めたように真愛ちゃんを見て―――
「知ってる。知ってて、久米は僕に彼女と別れるよう―――忠告してきた」



