HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~




「ってもなぁ、学校関係者なんて何百人と居るぜ?生徒から教師、細かいことを言やぁ事務員や用務員…その中からどうやって搾り出すって言うんだ?」


梶が困ったように頭を乱暴に掻いた。


「そうでもないよ。あたしと久米の靴箱の場所を知れて、さらにはあたしのメアドを入手できる人間なんてそう多くない」


あたしがちらりと明良兄を見ると、


「……まさか」と言って明良兄が眉間に皺を寄せあたしを睨んできた。


「“そんなこと”は言ってない。ってかその可能性は0%」


今度ははっきり言い切って、明良兄が分かりやすく安心のため息を吐いた。


「ついでに言うと教師でもない」


「何で?」と明良兄。


「下駄箱で教師がふらふら生徒の下駄箱を空けてるなんて不自然だから」


「それは生徒が帰った後を狙えばいいだけじゃないか」


「確かにね。でも今回の手紙―――久米の靴箱に入ってたこの手紙が、生徒の仕業だって物語ってる」


あたしが手紙をふらふらさせると、


「……どうして?」と梶が不安そうに眉を寄せた。


「久米が帰ったのは授業後すぐ。そのすぐ後にあたしたちも帰った。大体15分~20分の差だよ。


恐らく、久米が帰る時点で手紙はまだ無かった。


そしてあたしが確認したときは手紙があった」


「あ!」


梶が「なるほど!」と言った感じで目を開いた。


「久米の行動を詳しく知れる人間。すぐに帰ったと言う状況が分かるのは―――


あたしたちのすぐ近くに居る人間。





クラスメイトの誰か―――だよ」