『相当あくどいって噂ですよ。“これ”をばら撒いてるんじゃないですか?』 お金のマークを指でつくってみせた久米の父親。 汚い金の上で成り立っている病院だと言うことを―――彼が一番よく知り、その事実に一番 腹を立てているのじゃないか。 あの、忌々しそうな横顔 ―――久米の描いたという絵を病院に飾ると言う行為を、 自分への戒めにしているのではないか。 あの事件を忘れないように。 そんな気がした。