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突然思い立って、僕は手近にあるメモ用紙を引っ張り出した。
その一部をちぎると、ペンやハサミ、カッターやホチキスが入っている筆記具の箱を慌てて取り出す。
箱自体は何かのお土産に貰ったお菓子の空き箱だった。
その中のスティックタイプの糊を取り出して、僕はちぎった欠片に糊を滑らせた。
「どうしたんだよ」
まこが訝しそうにしていたが、僕はそれに答えずに神経を集中させて、それでもいい加減をさを残しながら、そのちぎった破片を違うメモ用紙にペタリと貼る。
その出来上がったメモ用紙は、
あの手紙とほぼ同じ仕様にできあがった。
「僕は―――右利きだ」
僕は右手のひらを凝視して、動作を固まらせた。
「今更何だよ。右利きかってことがそれほど重要なのか?」
まこが不思議そうに、いやいっそ怪訝そうに眉をしかめて僕を見据えてくる。
「重要だよ。
久米は―――左利きだ」
まこはまだ意味が分かっていないのか、「だから?」と更に目を細める。
「この出来上がったメモを見て。
僕は右利きだから、慌てて貼った場合や、いい加減に貼った場合、糊をつけたこの欠片を
右手で切り端を持ちながら、左端を紙に押し付ける
そうすると、押さえてない方の右が僅かばかりペラペラと浮き上がるんだ」
実演する意味で、もう一度同じようにメモをちぎると、まこの前で見せた。まこがようやく理解できたかのように目を開いて、立ったままの僕を見上げてくる。
「つまりそれが自然な動作なんだ。犯人も僕と一緒で右利きの可能性が高い。
左利きの久米は―――この手紙の送り主じゃない」



