僕の言葉に石原先生は少しだけ皮肉そうに笑い声を上げた。
「生徒を信じたい気持ちは分かりますがね、それでも普段の素行が」
これ以上聞くのは、時間の無駄だ。僕は早口に、
「そのUSBってのは?」と石原先生に問いかけた。
「これですよ」
石原先生は一つのUSBを掲げる。それは何の変哲もない黒いUSBだ。
電気屋で売っていて、誰にでも簡単に手に入れられる。
楠が僕に渡したUSBと酷似していた。
僕はぎゅっと拳を握った。手のひらの中できゅっと音が鳴り、
「見せてください」僕は低く問いかけた。
「いいですけど、神代先生の手で接続してみてください。どんな悪事が公になるやら」
石原先生は楽しそうに言って僕にUSBを手渡してきた。
このUSBには、一体何が入っているのだ。
「どうしたんですか?神代先生まで止まってしまって。やっぱり先生から見ても彼らは試験問題を盗むように見えますか?」
石原先生まるで僕を挑発するように笑って、パソコンを手で促す。
僕はどうするべきか悩んだ。
僕の行動一つで、全てが変わる。
奇妙な沈黙が降りてきて、でも
「先生、繋げてください」
その沈黙を破ったのは雅だった。



