HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~



岩田の説明によると、雅と梶田と楠が試験問題の盗難をしたという疑いを掛けられたということだった。


「は!?」


盗難ってありえないし。


「あたしらもそれはないと思うんですけど、でも石原は鼻から疑ってるみたいだし」


どうやら岩田とその友達は、雅たちが石原先生と何事か揉めている場面を偶然にも目撃したみたいだ。


「事情は分かった。ありがとう」


僕は短く岩田に礼を言うと、生徒指導室に走った。


岩田の話に寄ると、雅はUSBを持っていたみたいだ。


そのUSBが何らかの事情に関係しているのかも、と岩田は心配そうに僕に説明をくれた。





「鬼頭、楠、梶田!」


生徒指導室の扉を開けて、彼女らの名前を呼ぶと、横一列に座らされていた彼女らは緊張に顔を強張らせて僕を見上げてきた。


「早かったですね」


と石原先生がが僅かに笑いかけてくる。


「これが問題のUSBですよ。神代先生も証人になってください」


雅が顔を上げた。その表情は相変わらずの無表情だったが、一瞬だけ眉間に皺が寄った。


僕は緊張した面持ちで雅を見て、それでも





「鬼頭たちは試験問題を盗むような子たちじゃないですよ!」






すぐに石原先生に向き直った。