「まぁあれですよね。二人に何かあった場合、どちらかが輸血できるってワケでしょう?良い偶然じゃないですか。
知っていて損はないですよ」
と、和田先生が明るく言う。
「あの二人がそこまで仲いいとは思えませんけどね」とまこが苦笑いで返し、
「流石に緊急事態だったら、話は別でしょう」と僕だけが真剣。
まぁそういう状態にはなって欲しくないが―――
そんなことを話していると、二限目の終わりを報せる鐘が鳴った。
約50分と言う間、僕たちはここで話し込んでいたことになる。
「もうこんな時間か……久米の様子を見てきますよ」
和田先生が腰を上げる。
「僕は―――森本を……」
と言って同じように腰を上げたが、そのとき
『2-A担任の石原です。神代先生、至急生徒指導室にお越しください』
石原先生の無機質な声がアナウンスで流れて、僕たちは揃って顔を見合わせた。
「何だろう……また何か言われるのかなぁ」
「生徒指導室だろ?生徒が問題起こしたんじゃねぇの」と、まこはそっけない。
生徒が問題―――…
嫌な予感がして、僕は急ぎ足で生徒指導室に向かった。
途中、僕のクラスの岩田とすれ違った。
岩田は僕を見つけると、
「先生、大変!鬼頭さんと梶くんと楠さんが…」と駆け寄ってきた。



