「……で、それは治療方法とかないの?」
僕は探るように聞くと、まこは肩をすくめて、
「ない。まぁ、あまりストレスを掛けさせるなってことぐらいしか言えないな。
とは言っても年齢的なものもあるし、これは男より女の方が多く見られる。特別な病気でもないし。
なるべくリラックスした環境でゆっくり過ごさせるのが、一番の特効薬だな」
リラックスした環境で―――……
僕は森本と、森本の母親を思い出した。
あの環境では、とてもじゃないがリラックスなんてできないだろう。
「まぁ病気ではないし、特に気をつけることもない。
それよりも興味深い事実が発覚したぞ」
まこが目を細める。
“興味深い”と言ったが、目はちっとも楽しそうではなかった。
まこはメガネのブリッジを直すと、僕に検査結果の用紙を見せてきて、
「あいつの血液型はAB Rh-だった」
「AB型のRh-って―――」
僕は思わず目を開いて、用紙を凝視した。
そんな……
これは偶然―――?
「ああ、鬼頭と同じ型の血液だ」



