□Chairs.4



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―――二限目の授業を報せる鐘が遠くで鳴っている。


そのことは分かる。


さっき久米と中央階段で騒動が起きた後、まこに引っ張って連れてこられたってわけだ。


僕は次の授業があったけれど、


「それじゃとても授業にならないでしょう。次の授業は先生が体調不良と言うことでうまく自習にしてもらいましたよ。先生は一度保健室で気持ちを整えてください」


と和田先生が計らってくれた。


彼の目もまた真剣だった。


彼は今、久米と森本を連れて和田先生の準備室で休ませている。


「お前は!自分がなにやったのか、分かってるのか!?相手は生徒だぞ!」


まこは僕を保健室に連れてくるなり、血相を変えて怒鳴ってきた。


幸いにも保健室には誰も居ない。


僕はそれには何も返さず押し黙ったまま、俯いた。


ベッドの端に腰かけたま項垂れている僕を見て、まこはしばらくの間腕を組んで苛々しながら僕の前をうろうろ。


「なぁあいつ、久米がお前に何か言ってきたのか?」


「何か……?」


虚ろな目でまこを見上げると、


「お前は理由もなくあそこまでキレるヤツじゃないよ。お前がキレる決定的要素があったんだろ?」


まこは苛立った様子で歩いていたけど……でも僕のことを気遣うような声音だった。