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中学二年生の秋。
その騒ぎは体育の授業のときに起こった。
女子は広い運動場のトラックを走って持久走。そして男子はサッカーのコートで試合をしていた。
いいな、あたしもあっちの方がいいよ。
あたしマラソンとか持久走とか苦手。持久力ないもん。
なんて考えながらとろとろトラックを走っていると、
男子のサッカーコートの方で叫び声のような怒鳴り声のようなものが上がった。
同じようにトラックを走っていた女子たちも何事か、そちらに顔を向ける。
あたしもそっちに目を向けると、ジャージ姿の男子たちがサッカーゴールの前で取っ組み合いをしていた。
喧嘩?
それだけなら別に気にしてなかった。男子たちは、あたしから聞いたら全く理解不能な良く分からない理由でつかみ合いの喧嘩に発展するから。
今回もどうせくだらない喧嘩でしょう?
そんな思いで顔を逸らそうとして、あたしは目を細めた。
サッカーゴールの前に男子の塊が出来ていて、一人の男子生徒が一人の男子生徒の胸ぐらを掴み、殴りかかっていたのだ。
美術バカ―――…?
あいつが殴られる理由も分かんないけど、(だっていかにも喧嘩とは無縁な感じで大人しいし)
だけど―――殴る理由はもっと分からない。
そう、何故かクラスメイトの男子の胸ぐらを掴み、今までに見たことのない険しい顔で掴みかかっていたのは、
美術バカだった。