森本と和田先生はそれぞれ驚いたように目をいっぱいに開き―――


久米はうっすらと笑みを浮かべ、


それから何事もなかったかのように階段を降りだした―――




許さない





許さない







許サナイ――――!!!








絶対ニ許サナイ





僕の執念じみた声が廊下に反響して―――……





だけどその声はむなしく静寂と言う名のものが、吸い取っていった。




キーンコーンカーン……





鐘のなる音だけが耳朶を打ち、


行き場のない怒りだけが、またも僕の中を不快に満たす。





久米ハ危険ダ




危険ダ



危険―――





怒りを現す色か、それとも警告を促す色か、




廊下の非常ベルのランプだけが燃えるような赤い色を連ならせていた。



それはまるで毒リンゴのように




鮮やかな赤色だった。