ドンッ!


鈍い音がして、久米が壁に打ち付けられる。


久米もまさか僕がこんな行動に出るとは思っていなかったのか、驚いたように目を開いている。


僕は彼の拳を握ったまま首に腕を押し付け、彼の動脈を圧迫するように力を入れた。


身長は僅かに久米が上回っていたが、まこほどではない。


久米はあっけなく僕の腕に絞められる形になった。


「……っ!」


久米が短く声を上げて、苦しそうに僕の腕を引き離そうと試みる。


だけどそれより早く僕は腕に力を入れ、彼の首を絞め上げた。


久米が呼吸を求めるように口を開け、よっぽど苦しかったのかぎゅっと目を閉じる。





まこの言った通りだ。


その気になれば、僕はかなり凶暴で、そしてこんなにも惨忍になれる。





そして僕の推測は外れた。


―――久米は仲間を探しているんじゃない。こいつは、


雅を―――傷つけようとしている。




久米が荒々しく呼吸を求め、その顔に僕が自分の顔を近づけた。





「雅に近づくな。


彼女を傷つけたら、僕が許さない。




お前を一生追い続け、地獄の底まで引きずり込んでやる」





自分の声じゃない、誰か違う声を聞いているようだったが、紛れもない自分自身の声で、


それは驚くほど低く、





感情の欠片を感じさせないものだった。