その笑顔に、僕はぞくりと悪寒を感じた。


こめかみに嫌な汗が浮かんで、僕は久米をじっと凝視した。


「君は―――美術が得意なのか?」


僕が聞くと、久米は急に興味がなくなったように表情を拭い去り、またも前を向いた。


「……まぁそうですね」


そっけなく返して、それでも何か思い立ったように、またも僕の方を見る。







「この絵はさ、確かに駄作だったけど、


去年の事故で―――生まれ変わったと思いません?」






去年の事故―――……それが雅が大怪我をすると言う事故だと言うことがすぐに分かったが、


何故それを久米が知っているのか、と言うことに驚いた。


それ以上に……


「生まれ変わる?」





「ええ。この絵は鬼頭さんの血を吸って、あの何の特徴もない平凡な絵を



世界一美しい絵画に変えたんだ」






あの白雪姫が魅せられるほど、美しい―――毒リンゴのような赤い血で―――