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あんな感じで一晩中考え事をしていたから、寝不足だった。


欠伸をかみ締めながら学校まで運転していると、助手席でも同じようにまこが大きな欠伸を漏らしてた。


まこもやっぱり考えていたのだろうか。


そんな思いでちらりとまこを見ると、欠伸で涙目になった目を細めて


「ゆずが寝かせてくれなくてさ~。激しい女だぜ」


なんてにししと笑った。


嘘ばっかり。


ゆずは一晩中静かだったし、まこが居るから多少うろうろしていたものの、最終的には僕のベッドで大人しく丸まっていた。


信号が赤で停車中に、僕は上着の胸ポケットから楠から預かったUSBメモリを取り出した。


「あと二人………かぁ」


隣でまこも呟く。昨日寝る前に散々


『やっぱさぁお前の考え過ぎだって。久米が白雪姫を演ろうって言い出したのは偶然だろ?A組が人魚姫を演るって言ったからそれに乗っかっただけだって』


とブツブツ言っていた。


果たして偶然だろうか。


A組の実行委員の一人、堤内と久米は親しかった。


久米が二部構成のアイデアを堤内に話した―――と噂する者も居るが、果たしてどちらが先だったのだろう。


久米が―――堤内から二部構成の話を聞いて、それとなく楠に相談したら?


楠だって久米のアイデアがまさか盗まれたものだと思ってもみなかっただろう。


いや……


そこまで久米を疑うのは良くないな。


何といっても久米は僕のクラスの教え子じゃないか。


生徒を信じなくて、教師が務まるものか。


だけど実際、久米のことを考えれば考える程、僕は彼が分からなくなる。





「あと二人―――だ」





一体誰なんだ。誰が関係してるんだ。